ウクライナ戦争で、結果的に中露を組ませ、BRICSやグローバル・サウスもそちらに追い遣る事になっており、このまま続ければ早晩、西側は詰み米国は覇権を失うだろう。多額の援助は軍事産業に還流してくるが、血税がそこに注がれる事に一般米国民の理解は得難いのではないか。

中東政策では、トランプの親イスラエル側スタンスからのアプローチが、果たしてアブラハム合意の拡大進展と言う形で妥協の下に一定の安定を齎すものかは見通せないものの、一方の民主党の具体性と意志が希薄な政策では混乱は拡大して行くと思われる。

その他、大きな所では、中絶の権利問題があるが、トランプ自身は各州の判断に任せるとしており、民主党が狙う程の大きな争点とはならないのではないか。

以上を踏まえると、期日前投票はあるが11月の投票日までに、党大会の熱狂は薄れて行く中で、トランプ陣営に徹底的に政策の矛盾や実現性の無さを攻撃されるだろう。なかんづく国境対策やインフレ対策で「なぜ、現職の副大統領期間中にそれをやって来なかったのか?」という問いに答えるのは難しい。トランプなら何かそれを端的に攻撃する標語を創って攻めて来るのは容易に想像出来る。

6月末のバイデン vs トランプの討論会でバイデンが手痛い失態を演じた約2週間後にトランプ暗殺未遂が起き、その後民主党は候補者をハリスに差し替えた。

なおクルックス容疑者は、「クルックス容疑者と仲間たち」であったとも言われており、トランプを抹消してさえその再選を阻みたいと思う者の予備軍は、まだまだ多いと想像される。

仮に9月10日の第1回討論会の前後で、圧倒的にトランプ優位で覆せない状況になった時、第2のクルックス容疑者が現れる可能性は否定出来ない。あるいは、ハリスを抹消して弔い合戦でトランプを屈しようという倒錯した目論見を抱く者の出現すら考えられなくもない。

勿論、もしハリス優位で進めば、親トランプ派の中から上記と全く逆のシナリオを描く者が出て来る可能性もある。