人類は昔から、地球以外で定住できる場所を得ようしてきました。
そのための1つの方法は、人類が居住できるよう天体を改造する「テラフォーミング」です。
最有力候補である「火星」のテラフォーミング計画は、これまでに様々なものが提出されてきました。
そして最近、アメリカのノースウエスタン大学(Northwestern University)に所属するサマネ・アンサリ氏ら研究チームは、人工ナノ粒子で火星を覆う新たなテラフォーミング計画を提出しました。
この方法により、-60℃の火星を30℃以上温暖化させることができるようです。
研究チームは、「これまでに提出されてきたテラフォーミング計画よりも5000倍以上効率的だ」と主張しています。
「人工ナノ粒子で火星を覆う」とは、いったいどのような方法なのでしょうか。
研究の詳細は、2024年8月7日付の学術誌『Science Advances』に掲載されました。
目次
- 火星のテラフォーミングは非現実的!?
- 人工ナノ粒子で火星を覆って温度を30℃以上高める
火星のテラフォーミングは非現実的!?
「赤い惑星」とも呼ばれる火星は、テラフォーミングの最有力候補だと考えられています。
それでも今のところ、火星は人類の居住には適していません。
まず、火星の表面温度は平均-60℃(マイナス60度)であり、地球の平均気温(14℃)と比べると、大きな差があります。
また地球海面上の気圧が1013hPaなのに対し、火星の大気はわずか6~7hPaです。
しかもその95%が二酸化炭素で構成されており、酸素は0.13%しか含まれていません。
火星は大気が非常に薄く、酸素もほとんどないのです。
さらに人類に不可欠な水は、火星の地下に氷の状態で閉じ込められていると言われています。(最近では液体の水が存在している可能性も示唆されています)
このため、火星を水で満たすために火星を温暖化させようというアイデアが昔から存在しています。