日本と中国のビジネスの関係を考えると貿易取引的には日本にとって重要な相手国ではありますが、私がもしもそのような立場にあり、中国に進出してビジネス拡大の商機を狙うかといえばないと断言します。理由は泥棒に追い銭だからです。日本の優れた性能やアイディア満載の商品を「オタク、買いませんか?」と揉み手で商売するエコノミックアニマル、売り上げ至上主義、自社さえよければ何でもよい、そうにしか見えないのです。相手は泥棒、良いところどりをして物まねされて挙句の果てに日本のモノより良い商品を安く提供する、それが中国なのです。

日本製鉄の上海、宝山鋼鉄とのパートナーシップが終わると発表されましたが、私からすればようやくその思いに至ってくれたか、です。自動車産業もほとんどが現地企業との合弁で結局、日本の自動車産業の技術が全部筒抜けになり、挙句の果てにEV化自動運転化を国家を挙げて進めた結果、中国に進出している日本の自動車メーカーは散々な思いをしています。日本の自動車メーカーよ、さっさと帰国せよ、それが私の思いです。

中華思想のエネルギーが届く円があるとすれば西側諸国はこのエネルギーを消耗させ、円を小さくする、その施策をとる必要があります。その中で経済制裁はボディブローのように効く効果抜群の政策であります。例えば西側諸国から強力な制裁を受けているイランは石油を中国など同盟関係にある国に輸出することで体裁を保っていますが、実情厳しい状況に変わりありません。これが中国になると工業製品の輸出を主力としていただけにその影響力は計り知れないものになるのです。

トランプ氏は中国との関係において氏が大統領になれば恒久的正常貿易関係(PNTR)(=最恵国待遇)を取り消すと表明しています。アメリカにおいてPNTRがあると自動的にMFN税率と称するWTOが決める世界関税基準が適用されてきました。氏が中国からの輸入品に6割の関税をかけるという法的ベースはここにあるのだと思います。これが適用されると隣国であるカナダはそれに歩調を合わさざるを得ないし、中国の受け皿となりつつあるメキシコは更なる影響を受けるのでしょう。日本にもその影響は及ぶはずで否が応でも中国とのデカップリングが進むことになります。