私はハードワークで有名なコンサル会社に勤務していたことがある。役職はディレクターだったので役員会やクライアントの取締役会などにも出席していた。会社にとって数字(売上と利益)は至上命題である。業績がいいときは楽だが悪い時は悲惨である。社長からつるし上げを食らうことになる。
<よくある現象A>
社長:先月からほとんど進捗ないな。で、いまはどんな感じなの? 尾藤:提案済み案件が多いので心配はしていません。 社長:じゃ、早く結論を出せよ!お前バカなの? 尾藤:いまクロージングを急ぐことは好ましくありません。 社長:じゃ、お前の給料は誰が払うんだよ。ほかの役員に謝罪しろ!
<よくある現象B>
社長:今月末の落としどころは? 尾藤:目標値に対して6割程度ですが、期末には数字を合わせるようにします。 社長:そんなの当たり前!お前バカなの? 尾藤:あと一歩の案件がいくつかありますのでお待ちください。 社長:「あと一歩」ってどのくらいなの?先週は「あと少し」って言ったよな。「あと一歩」と「あと少し」ってどっちがマシなの?
周りの見せしめもあるから、酷い言葉が飛び交う。こんな時に逃げ込む場所があった。銀座伊東屋の隣のビルにある喫茶店である。場所が地下にあったので電波も届かない。ここで好きな読書をしながら時間を潰していたのである。仮眠をとることもあった。周囲はサラリーマンばかりで同じような客が多かった。
リフレッシュできる場所を見つけるネットカフェが無い時代、リラックスできる場所を確保することは重要だった。リフレッシュすることで体調を元に戻すことができた。その効果だろうか、当時のキャリアを振り返れば業績未達の年は一度もなかった。むしろ毎年、上位10%にはいるハイパフォーマンスを挙げていた。居場所を見つけることは大切である。
どうしてもストレスが軽減できない場合は、ひたすら寝ていた。早退して家でガン寝したこともよくある。睡眠後は、心も体もリフレッシュできた。