Sakorn Sukkasemsakorn/iStock

日本の直接投資収益について、統計データを基に可視化してみます。貿易による収益から、投資による収益へと構造が変化しているようです。

1. 日本の直接投資収益のバランス

前回は、日本の国際収支から、経常収支や第一次所得収支、直接投資収益についてご紹介しました。

日本は輸出と輸入が拮抗していて、純輸出(貿易収支)はほぼゼロです。

一方で、海外からの財産所得である第一次所得収支は大幅なプラスで、経常収支の増加に大きく寄与しています。

第一次所得収支のうち、証券投資収益は一定範囲でアップダウンが続いていますが、直接投資収益は右肩上がりに増加しています。

この直接投資収益は、対外直接投資による海外からの所得(受取)と対内直接投資による海外への所得(支払)の正味(ネット)の数値となっています。

日本は対外直接投資はそれなりの規模ですが、対内直接投資が極端に少ない特徴がありますので、直接投資による所得も受取が超過している事になりますね。

その差引の金額が、直接投資収益という事になります。

今回は、OECDの統計データから、直接投資による支払いと受取りのバランスについて確認してみましょう。

ここでは、対外直接投資によって受け取る所得を対外直接投資所得(Foreign Direct Investment Income:Outward)、対内直接投資によって支払う所得を対内直接投資所得(Foreign Direct Investment Income: Inward)と呼びます。

対内直接投資所得は支払い側となりますので、マイナスの所得という事になります。

図1 直接投資収益 日本OECD統計データより

図1が日本の直接投資収益について、対内直接投資所得(支払、マイナス側)と対外直接投資所得(受取、プラス側)の推移を示したものです。その差引が直接投資収益(黒線)です。