トンカチのような形の頭を持つシュモクザメ。その姿は一度見ただけで強い印象を残します。そして「どうしてこんな形をしているんだろう」と不思議に思うでしょう。この記事では、シュモクザメの頭の形の秘密に迫ります。
『サカナト』で読む
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
シュモクザメの名前は頭の形から
シュモク(撞木)とは仏具の一種で、鐘を打ち鳴らすためのT字型の棒のことです。
金槌(提供:PhotoAC)
英名では”Hammer head shark”(金槌頭のサメ)と呼ばれており、やはり、その頭の形が一番の特徴です。
シュモクザメは全部で9種類
今日、海には9種類のシュモクザメがいることがわかっています。どの種類もこの金槌頭を持っていますが、種類ごとに違いがあります。違いの一つは、体の大きさに対する頭の比率です。
例えば、インドシュモクザメは頭の比率が高く、頭でっかちな見た目をしていますが、ウチワシュモクザメは頭の比率が低く、小さい頭をしています。
アカシュモクザメ(提供:PhotoAC)
どうしてこの頭の形になったのか?
このように頭の大きさに違いがあることから、古くは頭の小さいシュモクザメがいて、段々と頭が大きく進化していたのだろうと考えられていました。
しかし、シュモクザメのDNAを検証した研究で意外な事実が判明。それは、古い種類ほど大きな頭を持ち、新しい種類ほど頭が小さいという、当初の仮説とは全く反対の結果でした。
シュモクザメ(提供:PhotoAC)
生き物の進化は、ある環境で暮らしやすいように少しずつ変化するイメージを持つことが多いと思います。しかし、稀に突然変異で現れた、普通なら奇形とされるような特徴が偶然にも生存に有利で、それが優先される場合があります。
シュモクザメには、これが起きたのだと一部の研究では考えられています。