1.アトランティスはジブラルタル海峡の前にある島であった

 この主張は長い間繰り返されてきたが、プラトンがアトランティスの領土について語った内容と本当に一致しているかは疑問が残る。プラトンの『ティマイオス』や『クリティアス』の一部だけを読むと、そのような解釈が可能かもしれないが、文脈全体を考慮すると別の見方ができる。プラトンが描いた「海峡の前にある島」は、実際にはマデイラ島である可能性が高く、プラトンの描写する広大な領域はマカロネシア全体や、アフリカ北部から南ヨーロッパにかけての地域に該当するかもしれない。

 それにもかかわらず、なぜ大西洋に巨大な伝説上の島があるという神話が広まったのだろうか。その理由の一つとして、モーリタニアにある「リシャット構造」が挙げられる。この地形は、プラトンが描写したアトランティスの領土内にあり、首都の形状と一致する特徴を持っている。さらに、リシャット構造は何十万年にもわたって人類に住まれ、かつて海による大規模な破壊を経験した痕跡が見られる。このため、プラトンのアトランティスに関連付けられているのであろう。

伝説の大陸『アトランティス』に関する3つの誤解とは
(画像=人工衛星から捉えたリシャット構造 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)