聖骸布の真偽論争と新たな科学的分析

 懐疑派は、14世紀の無名の芸術家が彫刻や人体モデルに粉末塗料を使用して「救世主の聖骸布」を偽造したと考えている。一方、多くのカトリック信者は、この布が復活の瞬間にキリストの姿を奇跡的に写し取ったものだと確信している。

 1980年代の放射性炭素分析では、聖骸布の布が1300年代半ばのものであると判定された。しかし、イタリアの結晶学研究所のリベラート・デ・カロ博士は、広角X線散乱法という新しい手法を用いて、この布が紀元55-74年のマサダの包囲戦で使用されたことが確認されている試料と良く一致すると主張している。

 デ・カロ博士は炭素年代測定の精度に疑問を投げかけている。博士は「カビや細菌、汚れや炭素を含む鉱物が繊維に付着し、完全に除去することが困難なため、年代測定に歪みが生じる可能性がある」と指摘している。また、X線散乱技術は非破壊的であるため、世界中の研究所で同じサンプルを検証できる利点があるという。

 さらに、亜麻布の繊維間に中東由来の微小な花粉粒子が確認されたことから、聖骸布がヨーロッパの偽造品であるという一般的な見方を否定している。

「トリノの聖骸布」からAIが復元した「イエス・キリストの顔」が公開
(画像=画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)