筋肥大のためのインターバル

ハイパートロフィー(肥大化)とも呼ばれる筋肥大のためのインターバルに関しては、もう少し複雑になります。これまでは、90秒以下が目安だと言われてきました。

NASM(National Academy of Sports Medicine、全米スポーツ医学アカデミー)では0~60秒、NSCA(National Strength and Conditioning Association)やACE(American Council on Exercise)から出版されているパーソナルトレーニングの教科書では、いずれも30~90秒が推奨されています。

ところが、筋肥大に関しては、短いインターバルのほうがよいとは限らないという研究結果もあるのです。2016年の研究では、インターバルを3分間取るほうが1分間取るよりも筋肥大につながることが確認されました。

これは、3分間のグループの男性(研究対象は男性のみ)のほうが、1分間のグループに比べて、より重いウェイトを使うことができたからだと著者らは推察しています。

両グループとも行なったセット数は同じだったので、3分間インターバルのグループの方がより多くのウェイトを持ち上げたことになります。

しかし、インターバルをどう設定するかは、そのほかの要因を考慮すべきとも、著者は述べています。以下はその一例です。

・インターバルを短く取ると、一定時間内により多くのセット数をこなすことができる(トータルでより多くこなせるため、筋肥大につながる)。

・インターバルを短く取ると、やや疲労が残る状態で次のセットを開始することになるので、オールアウト(これ以上上げられないというところまで追い込むこと)になる。オールアウトでは、より多くの運動単位(運動ニューロンと筋繊維)を使うので、筋肉の「代謝ストレス」を高め、より筋肉の発達につながる可能性がある。

・インターバルを長めに取ると、より重いウェイトでセットをこなせるため、筋力と筋肥大のどちらも促す。

・インターバルが長いと、トレーニング時間が長くなってしまう可能性もあるので、時間に余裕がない人にとっては、すべての筋トレ種目でインターバルを長く取るのは難しい。


ここまで述べてきた要因はいずれも相反するように見えますが、すべて同時に該当するとも言えます。さらに難しいことに、これらの結果は人によって差異があるとも研究者は述べており、万人に当てはまる解決策はないようです。

結局のところ、長いインターバルと短いインターバルの両方を取り入れるのがベストのようで、事実そのように組まれているメニューが数多くあります。

たとえば、ワークアウトの前半に行なう大きなコンパウンド種目(スクワットやベンチプレスなど、複数の筋肉・関節を使う種目)では長めのインターバルを、後半のアイソレーション種目(カールやグルートブリッジなど、単一の筋肉・関節を使う種目)では短めのインターバルを採用するといいでしょう。

筋肥大を目指すワークアウトでのインターバルでは、通常1分ほど(または30~90秒)のインターバルが推奨されていますが、2分以上のインターバルを組み込んだ種目もいくつか取り入れるのがいいでしょう。