成熟化・コモディティ化してから導入

 サイゼリヤ元社長の堀埜一成氏は著書『サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)のなかで、システム投資について次のように綴っている。

「情報を一元管理し、必要な数値をいつでも参照できるデータウェアハウスをつくることにしました。部門ごとに、求める成果は何で、それを測るためにはどんな数字が必要か、ものすごく時間をかけて議論しました。外部のシステム会社に丸投げして、適当に現場をヒヤリングしてもらってつくる、という方法を採らなかったのは正解でした」

「まわりがタッチパネルを導入しているからといって、それに追随しているだけでは、いずれはシステム開発コストを吸収しきれなくなって、値上げしなければいけなくなる。それではコストリーダーシップは維持できません」

 今回のモバイルオーダーのUIからは、同社の経営戦略の特徴が読み取れると前出・小林氏はいう。

「同社は最新技術をすぐに導入するのではなく、ある程度、成熟化・コモディティ化してから導入するという姿勢を持っており、例えば会計におけるQRコード決済への対応では、読み取り用端末上の決済サービスが数種類に集約されてから導入しました。モバイルオーダーも業界内で普及してきたところで導入しており、さまざまな選択肢を比較してどのような形態がより優れているのかを検証しつつ、コストを最小限に抑えることにつながっていると考えられます。このほか、同社は自社のノウハウを論文にまとめて世間に公表するなど、ユニークな取り組みも注目に値します」

(文=Business Journal編集部、協力=小林敬明/TransRecog代表)

提供元・Business Journal

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