さらにバスケットボールについて調べた研究では、試合中に得点したプレーヤーは、その後のシュートの成功率が一時的に高くなることが示されました。

これらの結果は、勝者敗者効果が人間のスポーツの世界にも存在しており、直前のプレイの勝者はその後のパフォーマンスが上昇し、敗者は逆に低下することを示しており、それがホルモンのような生理学的現象によって導かれている可能性を示します。

しかし自然界やスポーツの世界では最初から選手の実力に差があり、もともとの実力差が勝者敗者効果に何らかの影響を与えている可能性もありました。

そこで最近行われた研究では実験的な環境で個体間の実力を等しくなるように調節した上で調査が行われましたが、この場合でもやはり勝者敗者効果があることが判明しました。

この結果は、勝者敗者効果があくまで勝負の結果そのものが原因であり、競争力の上下に繋がっていることを示しています。

一方で、戦いを経験しなかった中立的な個体は勝者と敗者の中間的な位置を占めていました。

では勝負に必要なのは勝ち負けの結果のみで、実力はあまり重要ではないかと言えば、そうではありません。

勝者敗者効果がない最初の戦いで勝利するかどうかは、実力によって左右されるからです。

また自然界のようなランダムな環境では初戦で負けてしまった個体同士の敗者復活戦も行われる可能性があるため、やはり実力が重要です。

敗者復活戦で勝利できれば、勝者敗者効果の恩恵を受けた状態で、次なる戦いに挑めます。

というのもこれまでの研究により、勝者敗者効果においてもっとも重要なのは直前の戦いであることが明らかになっているからです。

なので、これから勝負に挑もうとしている闘犬や戦鶏などの動物やスポーツ選手が最後の調整を行うときには、格上の選手とスパーリングをして敗北するのは避けたほうがいいと言えるでしょう。

もし大会に出場する動物なり選手が直前の練習試合でボロ負けしてしまった場合、勝者敗者効果の負の影響に捕らわれる可能性があるからです。