Syntro本体にはカメラ2台、マイク3本、3Dライダー、コンピューター・ビジョン、そのほかセンサーなどを搭載。アイトラッキング(視線追跡)とVRを活用して箱、原材料、トートバッグなどの物体を検出し、対象物を指定する。

オペレーターはVRゴーグルを装着し、手の届く範囲にあるモノを強調表示したARオーバーレイにより、遠隔地の環境を確認することが可能だ。また、グローブには「ハプティック(触覚)・フィードバック1」と「フォース(力覚)・フィードバック2」の両方が組み込まれている。
例えば、ロボットに箱を持ち上げるように指示すると、オペレーターは装着したグローブを通じて動作の実行・完了を感知できるのだ。

リアルタイムに感覚を伝えるこの技術について、WorkFarのリリースでは、産業分野以外のさままざなシーンで活躍する可能性を秘めるものだとし、「一般の人が地球の遠く離れた場所にいる友人や家族と交流したり、握手したりできる日もそう遠くないかもしれない」と述べている。

1 ハプティック・フィードバック…遠隔地にある物体に「接触」したときのグローブの振動感覚
2 フォース・フィードバック…グローブをきつくすることで物体の表面の圧力を伝える。オペレーターの指が、存在するはずの物の表面を超えて物体「内部」に入らないようにする

人間が作業内容を指示、AIが実行方法を指示

また、優れた操作性もSyntroの大きな特徴だ。腕を1本(または2本)を動かすだけでオペレーターの仕事はほぼ終わり、ロボットの仕事が始まるという。Syntroに搭載されたAIが、対象物の形状や大きさを識別し、安定を維持しながら荷物を手に取る・持ち上げる方法を決定するといった細かい作業を担当してくれるのだ。

人間がロボットに「何をすべきか」を指示し、搭載されたAIがロボットに「どのようにすべきか」を指示する……こうしたシームレスな相互作用により、オペレーターは反復性ストレスによる怪我や重いものを持ち上げることによる身体的損傷のリスクを回避できる。