そう考えると、ビジネスで完全不労所得などあり得ない。多くの経営者は比較的自由度が高いというだけで、一度仕組みを作ったら完全放置でOKなどありえないのだ。

3. 起業すれば自分らしく気ままに生きていける

最後によくある勘違いが「独立すれば上司もおらず、誰にも気を使わずに素の自分で生きていける」というものである。これは自分自身も勘違いしていた。

まず、従業員を抱える社長になる場合は「社長」という役割を演じる必要がある。社長なので愚痴や不安など軽々しく口にはできない。上昇志向の高い従業員ほど「ここで働けば自分も成長できる。社長からも学べる事がある」と考えて働くものなので、弱々しくて頼りない姿など見せてしまえば優秀な人から離脱してしまう。

また、期待値通りにならない社員に本音をぶちまけてしまえば、あっさりとパワハラ認定される時代だ。正直、社長は従業員以上に本心を出し辛い役割だと自分は思っている。ちなみに最も本心を出しやすいのが若い新人社員ではないだろうか。若いから多少の間違いや物言いは許されることも多い。

では一人社長やフリーランスなら自由気ままか?というとまったく違う。特定の太い取引先や、クライアントワークをする場合、その取引先には絶対に逆らえない。人気漫画家などでない限り、自分の代わりは世の中にいくらでもいるので仕事の納期などを含め、多少無理を言われても仕事をもらい続けるためには頑張る必要がある。もしも相手の神経にさわる物言いをしたら、それで仕事が来なくなることだってある。

また、YouTuberやブロガーなど人気商売も視聴者、読者を意識せずに仕事は不可能である。反社会的、差別的な言動一発で信用がゼロになる。かといってChatGPTが出力しそうな無難なことばかり言っても「つまらない」と飽きられてしまうのでギリギリのゾーンを攻める難しさがあったりする。

結局、上下関係が嫌でサラリーマンをやめても今度はクライアントや市場が上司になってしまうのだ。たとえ人気タレントでも、自分の人気を支えてくれる熱心なファンの方を見て仕事をする必要があるのだ。