小田急電鉄の見解

Q1)災害による運休発生時の鉄道会社の対応として、このような対応は一般的なのか

・小田急電鉄の回答
当社沿線には、全10カ所に地震計を設置しています
いずれかの地震計で地表加速度40ガル以上を計測した場合、全列車を緊急停止します(強い揺れにより列車の運転が危険であると判断した乗務員は、橋梁等を避け、安全な場所へ運転する列車を停止することもあります)
計測値が100ガル未満であれば、次の駅まで徐行運転します
100ガル以上※1の場合は、線路・電路設備等の損傷から、最悪の事態では脱線・転覆までが想定されるため地震計ごとに設定する範囲で徒歩点検(150ガル以上の場合は、さらに試運転列車による確認も行います※2)を完了するまで、列車の運転を行いません
これにより、駅間に列車が停車した場合の対応については、運転再開までに30分以上を要する見込み、もしくは再開時刻の目途がたたない状況であれば、すべてのお客さまを対象に降車のご案内をすることを原則としています(この降車案内については、関東運輸局からの通達によるものです)
また、駅間での降車後については、線路敷地内の足元の悪さから、お客さまに転倒等のリスクが伴うため、列車から最寄りの駅もしくは踏切から、線路敷地外へご案内させていただくことを原則としています

※1 直近で100ガル以上を計測したのは東日本大震災
※2 100~149ガルの場合でも、天候状態等を考慮し、試運転列車による確認を行う場合があります

Q2)なぜ小田急電鉄はこのような対応を取ったのか(乗客が車両から降ろされて踏切まで歩かされて、山中の踏切で現地解散させられたのはなぜか? 乗客が運転士に交渉の結果、電車内での待機が許されたこととの関連は?)

・今回は海老名駅~小田原駅間をカバーする3つの地震計で100ガル以上を計測したため、地震前の降雨と地震計の計測値から、海老名駅~新松田駅間で徒歩点検+試運転列車による確認を、新松田駅~小田原駅間で徒歩点検を実施することとなりました
・なお、海老名駅~新松田駅間に停車していたすべての列車が、徒歩による安全点検後に試運転列車として点検する役割を担うこととなります
・前述のとおり、駅間に停車した列車からは、最寄りの駅もしくは踏切にご案内することとしており、今回は渋沢8号踏切(渋沢駅-新松田駅間の概ね中間)という、駅までの距離がある場所からのご案内をせざるを得ない状況におかれました
・このようななか、一部のお客さまからご希望が寄せられ、結果として列車内に留まられるお客さまが数名いらっしゃいました
・いずれは試運転列車として安全確認のための運転を行うことは決まっており、列車内に留まっていただくことが必ずしも安全とは言い切れない状況にあったため、留まられたお客さまへどのようにご案内するか、社内検討しました
・列車ごとの試運転列車としての点検範囲については、以下イメージ図となります
・最終的な対応としては、お客さまが留まられた列車をC列車と仮定すると、C列車直前まで(B列車の点検範囲)の点検を完了したB列車に乗り換えていただき、試運転列車として先行するC列車に続き走行する形で、お客さまに新松田駅から先までご乗車いただきました
・当社として、このような取り扱いは初めての経験であり、この経験を糧に、有事の際のお客さまご案内方針の検討・見直しをしてまいりたいと考えます

(参考1)渋沢8号踏切でのお見送り時刻 21時49分
(参考2)列車に留まられたお客さまが列車を乗り換えた時刻 3時26分
     新松田駅に到着した時刻 3時55分
(参考3)一刻も早い運転再開に向け、徒歩点検については海老名駅~小田原駅間を10以上の区間に細分化し、それぞれの区間に対し点検チームを組成して対応しました

小田急線「初めての経験」、地震で深夜に山中で「乗客は現地解散」複雑な事情
(画像=『Business Journal』より 引用)

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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