そのため、会議に外部者が紛れ込もうとしていないか、あるいは開催される会議が本物かどうかが一目でわかる。自分以外の参加者のバッジが全て赤であれば、会議そのものが偽物ということになる。

詐欺手口はますます巧妙に

自分以外の会議参加者がディープフェイクであれば、さすがに気づくはずと思う人もいるかもしれない。だが、最近の詐欺は巧妙になっている。実際、今年ディープフェイクを使った被害額の大きな詐欺が発生した。

英エンジニアリング大手のArupは5月に約2500万ドル(約37億円)の被害に遭った。ビデオ会議に参加した社員が、最高財務責任者(CFO)になりすましたディープフェイクに命じられるまま、資金を指定された口座に振り込んでしまったというものだ。この事件ではCFOだけでなく、社員以外の会議参加者は全員ディープフェイクだった。

もちろん、会議そのものが偽物というケースだけでなく、外部者の侵入も要注意だ。サービスや製品に関する企業秘密や戦略など、いったん流出してしまうと大きな損害につながるような情報を扱う会議では、より慎重になる必要がある。

ちなみに、RealityCheckの認証は会議へのログイン時のみでなく、会議中ずっと続くため、途中からのなりすましも検出するという。

メールやチャット向けの商品も視野

企業など組織での利用が想定されるこのソフトウェアを実際に使用するにあたっては、従業員らが使えるよう、組織のIT担当者がZoomのマーケットプレイスからRealityCheckをダウンロードする必要がある。

RealityCheckはZoom専用だが、Beyond Identityは今後、電子メールやチャット向けのセキュリティ製品も手がける計画とのことで、こちらも需要はかなりありそうだ。

2020年創業のBeyond Identityはデータクラウド会社のSnowflakeやコーネル大学、米ニューヨーク州オールバニー市などにソリューションを提供している。