結局、親木の側に落ちた種子は、十分な日光や栄養が得られず、そのまま腐ってしまいます。
アボカドの生存戦略は、哺乳類の運び手にすべてを負っていたので、本来ならここで絶滅するはずでした。
しかし、そうはならなかったのは、今日のアボカド人気が雄弁に物語っています。
アボカドは、どうやってこのピンチを乗り越えたのでしょうか?
なぜアボカドは生き残ったのか?
この問題については、専門家たちがいくつかの有力な説をあげています。
1つは、大型哺乳類が絶滅した後、運よくジャガーたちがアボカドに興味を示してくれたという説。
ネコ科動物の胃は、大きな肉を消化するのに十分なサイズがあるので、アボカドを丸呑みできると考えられます。
しかも、彼らは移動力に長けているので、これまで以上に種子の散布範囲は広がったでしょう。
一方で、この説を裏づける証拠は見つかっていません。
もう1つは、リスやネズミなどのげっ歯類が、アボカドの種を地中に埋めて腐るのを防いだという説。
体が小さいのでアボカドを主食にすることはなかったでしょうが、種を持ち帰って地中に埋め、アボカドの生存に貢献した可能性があります。
しかし、こちらの説も証拠はありません。
アボカドはどうして危機を乗り越えられたかは未だに謎ですが、ただ、メガファウナに取って代わる分散者が現れたことは確かです。
何らかの動物がアボカドの命を繋いでくれたおかげで、ついにアボカドは人類によって発見されます。
人類は、栽培によってアボカドを大きくし、より多くの果肉を食べられるよう改良しました。
記録によると、アボカドは、紀元前500年頃からメキシコをはじめとする中南米で主食として親しまれています。
16世紀には、スペインの征服者がアステカ人からアボカドを発見。
その後、北米の方まで広がり、1914年には、カリフォルニアの地でアボカドが大々的に栽培されるようになりました。