ナワリヌイ氏は2021年1月17日、治療が終わると、ドイツのベルリンからモスクワ郊外の空港に帰国した。同氏にはユリア夫人と子供たちと共にドイツに亡命するチャンスがあったが、同氏はモスクワに帰国し、その直後、逮捕された。

ナワリヌイ氏には確信があったのだろう。プーチン大統領を打倒し、ロシアの民主化を推進するためには命の危険があるとしてもロシア国内にいなければならないことを誰よりもよく分かっていたはずだ。

同氏の追悼式とミサが3月1日、モスクワ南東部の教会で行われ、その後、近郊のボリソフ墓地で埋葬された。外電によると、ロシア当局はナワリヌイ氏の追悼式会場の教会や墓地周辺の広範囲を封鎖し、開始の数時間前には通行人をチェック、インターネットを遮断した。にもかかわらず、ドイツ民間ニュース専門局ntvによると、数千人の国民が追悼式と葬儀に参加し、教会まで2キロ余りの参加者のラインが出来た。ナワリヌイ氏の棺が運ばれた霊柩車が教会前に到着すると、待機していた人々から「ナワリヌイ、ナワリヌイ」という声が出、拍手が起きた。

ナワリヌイ氏が獄死して半年の今月16日、ロシア金融監視庁は、ナワリヌイ氏の側近や弁護士ら9人を新たに「テロリスト・過激派」のリストに追加した。プーチン政権はナワリヌイ氏の活動が継続されないために弾圧を強化したわけだ。

インターネット上の金融監督当局ロスフィンモニタリングの対応リストに掲載された人々は、ナワリヌイ氏の元報道官キラ・ジャーミッシュ氏のほか、同氏の反汚職財団の会長マリア・ピューシッチ氏、亡命弁護士のオルガ・ミハイロワ氏とアレクサンダー・フェドゥロフ氏、拘束中の野党ジャーナリストのアントニナ・クラフツォワ氏と活動家のオルガ・コムレワ氏、ナワリヌイ氏のYouTubeチャンネルのドミトリ・ニソフツェフ氏と彼のプロデューサー、ニーナ・ヴォロホンスカヤ氏、そしてナワリヌイ氏の反汚職財団への寄付で懲役7年の判決を受けたソフトウェアプログラマーのアレクセイ・マリャレフスキー氏の面々だ。