イラン側の本音は、イスラエルとの軍事衝突をできれば回避したいのだ。それにはアラブ諸国が納得できる理由が必要だ。その意味で、ガタールでの停戦交渉でガザ紛争の停戦が決まれば、イラン側はイスラエルへの報復攻撃を中止できる。イランとしてもメンツがたつわけだ。
それだけではない。カタールの停戦交渉が成功すれば、イランばかりか、バイデン米政権にとっても大きな成果だ。11月の米大統領選でもバイデン現政権の外交上のビッグポイントとなり、米民主党が選挙戦で有利となる。
ガザ戦闘は8月7日で10ヵ月が過ぎた。イスラエル側とパレスチナ側に多くの犠牲者が出た。そしてガザでは住居、学校、病院が破壊された。戦闘は紛争双方に多くの悲劇をもたらし、忘れることが出来ない痛みを残した。勝利者はいない。敗者だけだ。ガザの荒廃した風景から目を逸らすべきではない。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年8月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。