その視点からいえば、ハマスがガザ紛争を始めたのだ。そしてイスラエル軍の報復攻撃に対し、ハマスはパレスチナ人の女性、子供たちを盾にして戦闘をしてきた。学校や病院の地下にトンネルをつくり、イスラエル側にミサイルを発射してきたのはハマスだ。だから、本来、パレスチナ人が「ハマスよ、テロを止めろ」と警告すればいいのだが、現実は多くのパレスチナ人はハマスを支援する。その結果、イスラエルとの戦闘で多くのパレスチナ人が犠牲となってきたのだ。

イスラエル側の軍事攻撃が全て正しいと思わないが、戦闘の直接の理由はハマスがもたらしたものだ。その点を忘れてはならない。イスラエル側の圧倒的な軍事攻撃の前に逃げるパレスチナ人の姿をテレビなどで見続けていると、悪いのはイスラエルだとなってしまう。繰り返すが、ハマスが奇襲テロをしなければ、4万人のパレスチナ人は犠牲とならずに済んだはずだ。

さて、カタールでガザ紛争の停戦に向けた新たな停戦交渉が再開した。多くのウオッチャーは今回の停戦交渉は中東の行方を大きく左右する重要な交渉となる、という点で一致している。停戦と人質と捕虜の交換が現在ドーハで交渉されているからだ。

交渉テーブルには、ウィリアム・バーンズCIA長官、カタールのムハンマド・ビン・アブドゥルラフマン・アル=サーニ首相、エジプトの情報長官アッバス・カメル氏が参加している。イスラエルの代表は、対外特務機関モサド長官のデビッド・バルネア氏だ。ハマスは交渉には直接参加していないという。ただし、交渉の内容については常にハマス側に通達されるという。仲介者は米国、エジプト、カタールだ。

なお、ハマスを軍事支援するイランは、7月末にテヘランでハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏が殺害されて以来、イスラエルへの報復攻撃を宣言してきたが、ここにきてカタールでの停戦交渉でガザ紛争の停戦が決定すれば、イスラエルへの報復攻撃を中止する意向があることを示唆してきている。