日本の北陸地方は「フェーン現象」発生地域として世界的に有名です。
フェーン現象については、中学校や高校で学んだことがあるでしょう。
ところが、筑波大学計算科学研究センターに所属する日下 博幸教授ら研究チームは、日本のフェーン現象が通説とは異なるメカニズムで発生していたと発表。
教科書で説明されてきたメカニズムとは異なる結果が明らかになったのです。
研究の詳細は、2021年5月6日付けの科学誌『International Journal of Climatology』に掲載され
目次
- フェーン現象のメカニズムとは?
- 日本のフェーン現象のほとんどは力学メカニズムだった
フェーン現象のメカニズムとは?
フェーン現象とは、風が山を越える際に暖かくて乾燥した下降気流となり、ふもとの気温が上昇する現象のことです。
このフェーン現象の発生メカニズムは、「熱力学メカニズム」と「力学メカニズム」の2つに分けられます。
熱力学メカニズムでは、平野の水蒸気を含んだ風が山を乗り越える際に、気温の低下とともに雲を発生させ、最終的に雨を降らせます。
これにより山を下る気流は乾燥し、ふもとに高温をもたらすのです。
対して力学メカニズムでは、山を越える際に雲と雨が発生しません。
もともと上空にある乾いた空気が山を越えた後、平野に下ることでフェーン現象が起こるのです。
そしてこれまで、日本のフェーン現象は熱力学メカニズムで発生していると考えられてきました。
教科書のフェーン現象の図には雨雲が描かれており、熱力学メカニズムの解説が掲載されていたはずです。
ところが今回、研究チームはこの通説を覆す研究結果を発表しました。