海王星の内部では、電気を通す性質がある超イオン氷が対流することで磁場を形成している可能性があります。

海王星の磁場は自転軸に対して47°も傾いており、この磁場の傾きは海王星内部の伝導性の液体によるものと考えられています。

地球、天王星、海王星の磁場の違い
地球、天王星、海王星の磁場の違い / 地球、天王星、海王星の磁場の違い Credit: ETH Zurich / T. Kimura

この液体部分に超イオン氷が存在し、この超イオン水の層が対流することで、電流が発生し、電磁石のように磁場を形成する可能性が示唆されています。

海王星の衛星

1846年の海王星が発見されたときに衛星トリトンも同時に見つかっています。

トリトンの外観
トリトンの外観 / トリトンの外観 Credit:NASA/JPL

海王星の衛星は全部で14個見つかっていますが、その中でもトリトンは変わり者で、海王星の自転とは逆向きに公転しています。

惑星の自転と逆行して公転している衛星は木星や土星にもありますが、トリトンほど惑星に近く、かつ大型の衛星で逆行する軌道をもつ衛星は太陽系には他にありません。

この原因については、トリトンが海王星とは別のところで生まれた天体であり、後から海王星の重力に捕らえられて衛星になったためだと考えられています。

火山を持つ衛星としては、木星の衛星イオがよく知られていますが、トリトンにも火山があります。

トリトンの火山は、「氷の火山」または「低温火山」と呼ばれています。

「氷の火山」は水やアンモニア、メタンなどの揮発性の物質を火山のように噴出する現象です。地球の火山では、内部の熱で融けた岩石がマグマとして噴出しますが、トリトンの火山が噴出しているのは主に窒素です。

トリトンでは表面が窒素を含む氷でおおわれているため、内部の熱が岩石から表面の氷に伝わり、窒素の氷から昇華した窒素ガスが噴出しています。このような火山活動は、太陽からの遠い表面温度の低い天体で見られるので「低温火山」ともいわれます。