最近の研究によれば、天王星よりも海王星の方が青く見える理由は、主に両惑星の大気中に存在する「もや」の層の厚さの違いによるものです。天王星の大気には厚い「もや」の層があって、微粒子によって光が反射されるため青色が薄まって見えます。海王星の大気にも「もや」の層がありますが、天王星に比べて薄いため、青色がより強く見えます。

▲研究チームによってモデル化された、天王星(左)と海王星(右)の大気中の3つのエアロゾル層
▲研究チームによってモデル化された、天王星(左)と海王星(右)の大気中の3つのエアロゾル層 / Credit:International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA, J. da Silva / NASA /JPL-Caltech /B. Jónsson

研究チームが想定したモデルは、3層のエアロゾルから構成されています。エアロゾルとは微粒子を含んだ気体のことで、色に影響を与える重要な層は、2層目の中間層です。

海王星の大気は天王星より活発なため、大気の動きによってメタン粒子が中間層にかき集められ、メタン雪として下方に降下していくため、「もや」が取り除かれやすくなっています。

海王星の大気が天王星より活発な理由は、海王星の表面温度が高いためです。

高いと言っても太陽から遠く離れた海王星の表面温度の平均は約 -218℃(55K)で、極寒であることに違いありませんが、それでも太陽に近い内側の軌道を回る天王星の表面温度(平均約 -224℃(49K))と比べると、わずかに高いのです。

この違いが、よく似た2つの惑星の大気の動きに影響していると考えられます。

では海王星の表面温度が高い理由としては何が考えられるでしょうか?

まずは、温室効果について考えてみましょう。海王星の大気の主成分は水素やメタンで構成されています。メタンは二酸化炭素よりも高い温室効果があるため、温室効果によって表面温度が上昇している可能性があります。

次に考えられるのは、重力収縮による発熱です。惑星の上層部にある物質が中心部に落下した時に重力による位置エネルギーが熱エネルギーに変わります。その熱が表面に伝わって表面温度を上昇させているのかもしれません。