障害をもつ人が社会参加を果たすためには、さまざまな「壁」がある。物理的な壁や制度上の壁は、政治や行政の努力で取り除くことができる。しかし偏見や差別など、社会に根付いている「心の壁」を取り除くためには、社会福祉の概念を見直す必要性があり時間のかかる課題でもある。

障害を持つ人たちが社会構成員の一員として、社会の恩恵を等しく受けることができるノーマライゼーションを実現することは簡単ではない。そこに生きる人の心が貧しい社会であっては、ノーマライゼーションを創造し実現することはできないからである。

なお、筆者は表記について「障害者」を使用し、「障がい者」は使用しない。過去に、多くの障害者が権利を侵害されてきた歴史が存在する。それらの歴史について、言葉を平仮名にすることで本質が分かりにくくなる危険性があるため「障がい者」を使用していない。

正しい見識を身につけることで正しい理解が広まる。本書を通じて、意義ある活動が世の中に広まることを祈念したい。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)