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ベストセラーとなった「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズを、中高生向けに編集してほしいという要望が寄せられたことをきっかけに誕生した一冊。中高生に贈りたい話題を厳選している。

「毎週1話、読めば心がシャキッとする13歳からの生き方の教科書」(藤尾秀昭 監修)致知出版社

人生のテーマ

藤尾秀昭(致知主幹)のページを紹介したい15歳の重度脳性マヒの少年が、その短い生涯の中でたった一端、命を絞るようにして書き残した詩である。

ごめんなさいね おかあさん ごめんなさいね おかあさん

ぼくが生まれてごめんなさい ぼくを背負うかあさんの 細いうなじに ぼくはいう

ぼくさえ 生まれなかったら かあさんのしらがもなかったろうね 大きくなったこのぼくを 背負って歩く 悲しさも 「かたわな子だね」とふりかえる つめたい視線に泣くことも

ぼくさえ 生まれなかったら

ありがとう おかあさん ありがとう おかあさん

おかあさんがいるかぎり ぼくは生きていくのです

脳性マヒを生きていく

やさしさこそが大切で 悲しさこそが美しい

そんな人の生き方を 教えてくれた おかあさん おかあさん あなたがそこにいるかぎり

「致知」2002年9月号で向野幾世さんが紹介した時である。作者は山田康文くん。生まれた時から全身が不自由、口もけない。養護学校の先生であった向野さんが抱きしめ、彼の言葉を全身で聞いて完成させた詩になる。この詩が私たちに突きつけている意味はとても重い。

ノーマライゼーションとは何か

1972年に米国ペンシルバニア州裁判所は「障害の如何を問わず、すべての子供はその能力に応じて教育を受ける権利を有する」(PARC判決)を宣言している。

これは、差別的な教育に対する是正を求めたものであり、教育のダンピングを招く危険性があることへの警告である。国民の6%が何らかの障害を有しているとされるなか障害者政策は喫緊の課題といえよう。