SP311の型式名で市場デビュー
基本メカニズムを共用する高級クーペの「ニッサン・シルビア」(CSP311型系)が市場デビューを果たしてから2カ月ほどが経過した1965年5月、SP311の型式をつけた「フェアレディ1600」が発売される。車両価格は従来モデルより5万円アップの93万円(東京標準価格)に設定した。
SP311型フェアレディ1600で、ユーザーがまず注目したのはその最高速度だった。公表された数値は165km/h。ついに100マイル(160km/h)カーの仲間入りを果たしたのである。また、SS1/4マイル加速は17.6秒を記録し、欧州製の1.6Lリッター級スポーツカーを凌駕するスペックを誇った。
SP311型フェアレディ1600は従来のSP310型系と同様、モータースポーツシーンにも積極的に活用される。なかでも脚光を浴びたのが、高橋国光選手のドライブによるSP311だった。
1958年に浅間サーキットで開催された第1回全日本モーターサイクルクラブマンレースでクラス優勝し、1961年から63年にかけて二輪の世界GPに出場して名を馳せた高橋国光選手は、1965年に四輪レースの世界に転向して日産のチームに所属する。そして、開設したばかりの富士スピードウェイで1966年3月に行われた第4回クラブマンレースにおいて、SP311型フェアレディ1600を駆って出場。スカイライン2000GTなどの並いる強豪を抑え、見事にポール・トゥ・フィニッシュを飾った。それから1カ月半後に開催された第3回日本グランプリのGTクラスにおいても、高橋国光選手+SP311はポルシェ911やロータス・エランなどを凌駕してポディウムの頂点に輝く。このとき、2位には粕谷勇選手のドライブするSP311が入り、見事SP311が1-2フィニッシュを成し遂げた。
高性能化を達成し、かつレースシーンでも大活躍したSP311型フェアレディ1600は、従来型以上に国内外での好評価を獲得し、日本製スポーツカーとしての名声をいっそう高める。SP311型1600は、その後に登場したSR型2000の影に隠れ、やや目立たない印象があるが、その総合バランスは2000以上に優れた逸材。もっと評価されていい傑作フェアレディである。
ダットサン・フェアレディ1600主要諸元
モデル=1965年フェアレディ1600(SP311型)
トランスミッション=4速MT(フロアシフト)
全長×全幅×全高=3910×1495×1315mm
ホイールベース=2280mm
トレッド=前1270/後1198mm
車重=920kg
エンジン=1595cc直4OHV (R型)
最高出力=90ps/6000rpm
最大トルク=13.5kg・m/4000rpm
最高速度=165km/h
サスペンション=前ウィッシュボーン/半楕円リーフ
ブレーキ=前ディスク/後ドラム
タイヤ&ホイール=5.60-14-4P+スチール
駆動方式=FR
乗車定員=2名
提供元・CAR and DRIVER
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