自分の子供が中学生ぐらいまでは従順だったのが高校になって突然反抗期を迎え、大学で一人住まいし就職する頃になれば親の顔は年に一度しか見ない話と似たようなものです。

NiseriN/iStock

イスラエルに対してイランの報復はいつ起きてもおかしくない状況。それに対してアメリカはイスラエルを支援するべく準備をしています。

報復合戦は継続的な戦争となるわけですが、その相手は誰なのか、イラン本体なのか、ヒスボラなのか、あるいはもっと多面的な攻撃なのか作戦の手の内は見えません。しかし、それで最後の一線を超える可能性は高まるし、それがアメリカ世論にどのような影響を与えるか計り知れないのです。いかんせん、民主党出身の現大統領が指示を出す話であり、トランプ氏は「俺は責任ないし…」とほくそ笑んでいるのですから。

ではなぜこのような泥沼になっているかといえばネタニヤフ首相の策略であります。よくある手法なのですが、物事をくちゃくちゃにしてしまい、関係者をそこから抜け出せなくするやり方です。実はそっくり同じなのがゼレンスキー氏で、戦争が始まってすぐ同氏は世界に声を出し、支援を求め、ロシアがどれぐらい卑劣かを訴え続けました。そして今般ロシア領内に進撃し、成功を収めているとメッセージを送っています。

これに各国政府が乗るのか、静観するのかであります。ウクライナの場合は静観以上の何物でもないはずです。欧米は後方支援すらしないでしょう。ですが、イスラエルとなるとアメリカは支援せざるを得ません。相手はもともと経済制裁をしていたイランと実質的に舎弟であるヒスボラであり、「やる気か?」とリング外で脅しをかける構図です。

イスラエルにしろ、ウクライナにしろ戦況が新展開入りしつつある中、この二つの戦争が引き起こす世界の分断化が強烈な副作用をもたらすことはほぼ確実です。地球儀ベースでの二極化ないし多極化が起こると同時に反グローバル化が起こり、世界経済のシュリンクには要注意だと考えます。