そして、最近注目を集めている土星の衛星がエンケラドスです。エンケラドスは直径500km程の天体でその内部には液体の水があると考えられています。

土星の衛星エンケラドス
土星の衛星エンケラドス / Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

エンケラドスの表面は一面氷に覆われています。

この大きさの天体の場合、普通は熱を保つことができないのでその内部は凍り付いています。ところが、エンケラドスの場合は土星の強い重力(潮汐力)によって内部がぐにゃぐにゃと揉まれているような状態にあり、熱エネルギーが生成されています。

これにより内部の氷がとけているかもしれないのです。生命にとって液体の水は欠かせません。逆に、液体の水があれば生命がいる可能性があります。

実際に、エンケラドスの表面からは間欠泉のように水が噴き出している場所が見つかっています。探査機カッシーニの調査によると、エンケラドスの水の中にはアンモニアや有機物などの生命に必要な物質が確認されています。

今のところ、タイタンにもエンケラドスにも生物やその痕跡は見つかっていません。しかし、これからも調査を続けることで新たな発見が期待できます。

実は、タイタンやエンケラドスを調べることは、私たちの地球のことをよく知ることにもつながるのです。タイタンが誕生したばかりの地球に似ているなら、そこから地球誕生のなぞに迫ることができるかもしれません。

また、エンケラドスの水に含まれる有機物に生命誕生の秘密が隠されているかもしれません。宇宙を知ることは地球や私たち自身を知ることでもあるのです。

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参考文献

惑星のきほん
https://www.amazon.co.jp/dp/4416617496

惑星科学入門
https://www.amazon.co.jp/dp/406159222X

シリーズ現代の天文学[第2版] 太陽系と惑星
https://www.amazon.co.jp/dp/B09FSPG3BY