誰かの悩みを解決しようと開発した商品が、その悩みを持つ人に知られていなかったら、結局開発者はその人の悩みを解決できません。その人の悩みを解決するには、商品を開発するだけではなく、それを相手に知ってもらわなければならないのです。

このように相手の立場に立ってアピールすることの意味を考えると、苦手意識も少なくなるのではないでしょうか。

「幸せな仕事」はどこにある?

―――井上さんの新刊『幸せな仕事はどこにある』の中では、「幸せな仕事」の見つけ方が語られています。これまでの話を踏まえてそれを一言でいうと?

井上さん:「自分の良いところ」と「誰かの困りごと」が交わる点を見つけることだと思います。

「自分の良いところ」は、自分では見つからない場合は、人に聞いてみることでヒントが見つかります。思い切って「人任せ」にしてしまっても良いのです。そうして見えてきた個性と、誰かの困りごとがうまく交わる点を見つけることができれば、それが自分のパーパスになります。

マーケティングでいうパーパスとは、ブランドや会社の「存在理由」です。これを自分のキャリアに当てはめて考えると、自分が働く理由、ということになります。自分はなぜ働くのか。それをはっきりと理解し、日々意識させてくれる仕事が見つかれば、それは自分にとって幸せな仕事だと言えるのではないでしょうか。

後編では、成長したい人ほど成長しないジレンマや、成長する人の共通点についてお聞きしました。

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インタビュイープロフィール

井上 大輔(いのうえ・だいすけ)

ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業推進統括 プロダクト本部 新規事業開発統括部 統括部長。ニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディジャパンでマネージャーを歴任。ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズ統括本部 マーケティング本部長、ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 コミュニケーション本部 メディア統括部長を経て現職。WASEDA NEO「早稲田マーケティングカレッジ」並びに「『人生の可能性』を広げるビジネスパーソンのための本づくり講座」講師。