―――そうすると、自分の個性が生かせないのでは?と思いました。「個性を磨く」にはどうしたらいいのでしょうか。

井上さん:個性を磨くためにも、自分がどんなことを期待されているか、何で必要とされているかを知ることが大切だと考えます。

例えば多くの人が、自分から「うまい相槌の打ち方」の話が聞きたいと言うなら、「相槌の打ち方がうまい」というのが1つの輝く個性なのだと思います。自分の個性は、ほかの人という鏡に映してみないとわからないことも多いのではないでしょうか。

私は小学生の頃、周りの人から「お父さんに似ている」と言われて、初めて自分が父に似ていること自覚しました。そのように、個性は人から教えてもらうことで認識できることも多いのです。

また、人に「必要とされること」と「利用されること」「依存されること」は違います。

「利用される」が「たまたま近くにいたから、と頼まれること」、「依存される」が「他に頼る人がいないから頼られること」だとしたら、「必要とされること」は「他にもお願いできる人がいるなかで、他ならぬ自分にお願いしたいと思われること」です。

そのような意味で「必要とされる」何かが自分にあれば、それはその人の個性に他なりませんし、伸ばしていく部分になると思います。

どうやったら「相手に思い出してもらえるのか」を考える

―――そうして個性が見つかっても、それをアピールするのが苦手だという人も多いと思います。若手ビジネスパーソンが自分をアピールするときのポイントについて教えていただきたいです。

井上さん:相手の立場に立つ、ことではないでしょうか。アピールとは、相手の課題を解決するために、自分の存在が必要だと相手に知ってもらうこと、だと発想を切り替えるのです。

アピールが苦手な人、というのは、基本的には「いい人」「誠実な人」なのだと思います。相手や周りの人を思いやるがゆえに、自分がでしゃばってはいけない、必要以上に自分をよく見せてはいけない、と考えるのです。