本芸術祭では、会期中のみ公開される安藤忠雄設計の風の教会で、アーティスト宮永愛子が神戸でのリサーチにより生まれた新作を発表します。


神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond 宮永愛子が安藤忠雄設計の「風の教会」で新作発表 神戸との出会いから生まれ…

宮永愛子は、土地やものにまつわる歴史やそこに流れる時間を紐解き、極めて丁寧で繊細な手法を用いてその場の環境も含めて作品を展開するアーティストです。今回は、安藤忠雄設計の風の教会を舞台に新作を発表します。


【作品について】

作品名:「辻の音(つじのおと)」

かつては老舗ホテルのチャペルウエディングの会場として様々な家族のハレの日を見守ってきた風の教会ですが、今は、時が止まったかのような静寂とともにあります。宮永氏はこの教会に流れる時間を注意深く観察し、教会の建つ六甲山上から見渡せる景色の中で暮らす人々や場所、ことをリサーチしました。例えば、レゴブロックのような人工島や、その埋め立て地に山の土を運んだベルトコンベアの道、かつて貿易港だったこの地での人々の営み、土地や人々の心に残る震災の記憶などを対象としました。

宮永氏は今の神戸を形づくったこれらの痕跡を地図には載らない道になぞらえ、風の教会をそれらの道が交差する場所、“辻”に重ねて考察しました。リサーチで集められた古今の事象は断片として教会に丁寧にささやかに配置されています。それらの要素を大切に拾い集め紐解く中で、鑑賞者は自身の生活の拠点から、静かに、かつ、無限大に思考を広げてゆくことができます。


【プロフィール】


神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond 宮永愛子が安藤忠雄設計の「風の教会」で新作発表 神戸との出会いから生まれ…

宮永愛子(みやなが あいこ)


1974年 京都府京都市出身、同地在住

2008年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了


日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩や葉脈、陶器の貫入音を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時間を視覚化し、「変わりながらも存在し続ける世界」を表現した作品で注目を集める。

主な近年の展覧会に、個展「宮永愛子 詩を包む」(富山市ガラス美術館、2023)、個展「宮永愛子-海をよむ」(ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM、京都、2023)、「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」(森美術館、東京、2023)等。第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞(2020)。

神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond 宮永愛子が安藤忠雄設計の「風の教会」で新作発表 神戸との出会いから生まれ…