なぜなら、この期間に億単位のドルが投入されるTVCM合戦で「掘られる」悪材料の質と量は、ハリス/ウォルズ陣営の方に圧倒的に多いからだ。つまり、トランプの悪材料はこの7年半でほぼ出尽くした。ヴァンスのそれも「childless cat ladies(子供のいない猫好き女性)」なる切り取り発言程度のことしか出て来ていない。

一方、ハリス批判の材料はカリフォルニアの司法長官⇒上院議員⇒バイデン政権VPの期間を通して、「国境担当皇帝」を筆頭にうんざりするほどあるし、ウォルツ批判の方もVP選出からほんの1週間しか経たないのに山ほど出てきている。それらは州兵時代のもの、下院議員時代のもの、そしてミネソタ州知事としてのものに大別できる。その一部をメディア報道から以下に拾ってみると・・・

先ずは州兵時代の階級詐称とイラク派遣回避の疑惑。07年に下院議長に当選した際にナンシー・ペロシが民主党新人議員と行った記者会見で、ペロシはウォルズを「“戦場で(on the battlefield)”国家に奉仕した退役“指令上級曹長(command sergeant major)”の州兵と表現していた。これを保守メディア『Washington Free Beacon(WFB)』が『C-SPAN』(中道ケーブルTV)が撮影したその時の画像を発掘して掲載している。

これにミネソタ州兵の広報官は7日、保守メディア『ジャスト・ザ・ニュース』に、ウォルズはミネソタ州の公式サイトで述べられている「指令上級曹長」として05年に退役したのではなく、「米陸軍曹長アカデミーで追加課程を修了しなかったため」に規定によって降格され、曹長(master sergeant)として退役したと語った。

翌8日、ハリス陣営はこの論争を受けてウォルツの経歴を、「退役した指令上級曹長」とされていたが現在は上級曹長の階級で勤務していたと記載を修正した。が、少なくともこの20年近くは虚偽の階級が記載されていた。上述の『WFB』は、ウォルツが議員時代に下院退役軍人問題委員会での演説や少なくとも6回の公聴会で、自分は「指令上級曹長」の階級であると主張していたことを報じている。