同氏は徹底的な分析をもとにその理由を述べています(イメージしやすいように下図をご参照ください)。

氏は石柱に刻まれている数多くの「V字」を数えて、その1つ1つが1日を表していると捉えました。

またV字が29個か30個ほど描かれており、それが1まとまりで1カ月を示している痕跡が見られたという。

ヴァルチャーストーンに描きこまれた暦の説明図
ヴァルチャーストーンに描きこまれた暦の説明図 / Credit: Martin B. Sweatman., Time and Mind(2024)

その下の列で11カ月をプラスして計354日(太陰暦は29.5日×12カ月で354日)を数え、さらにその下には1太陽年(365日)に帳尻を合わせるように、10日間を足して364日とした記録がありました。

加えて、ハゲタカの彫刻の首辺りにV字が1つ描きこまれており、スウェットマン氏はこれが「夏至」を表していると指摘。

この1日を足して、合計が365日となるような暦となっていると説明しました。

氏の説明が正しければ、これは月の満ち欠けに基づいた354日周期の「太陰暦」と、地球が太陽を1周して365日とする「太陽暦」の両方を考慮した”世界最古のカレンダー”となります。

しかしスウェットマン氏は、さらに驚くべき発見が別の場所にあったと話しました。

それによると、約1万3000年前に地球に衝突した彗星が描かれていたというのです。

1万3000年前の「彗星衝突」が刻まれていた?

同氏がギョベクリ・テペにある別の石柱を調べていたところ、「おうし座流星群」を描いた可能性が高い彫刻が見つかったというのです。

おうし座流星群は約1万3000年前(おおよそ紀元前1万850年前とされる)に始まった「ヤンガードリアス」という寒冷化の原因の一つとされるものです。

彗星はガスや塵などを放出しながら太陽の周りを周回する天体です。そのため彗星の軌跡にはその断片が数多く残っています。そんな彗星の軌跡と地球の軌道が重なると、彗星の断片が地球の大気圏で次々に燃えて流星群という現象を起こします。