その一方で、息子のハビエル・イダルゴ氏はAfrica Centerに資金を投入し続けた。同年に投入した金額は30万ユーロ。その年に二人はイダルゴ氏の本社で2回会合をもった。イダルゴ氏には仲介役のビクトル・アルダマ氏も会合に参加させた。

11月に入ってSEPIから最初にエアーエウロパに4億7500万ユーロ、その後グロバリアに3億2000万ユーロの支援金の支給が認可されたのである。即ち2社で7億9500万ユーロ(954億円)の支援金を得たのである。申請してから3か月余りで支援金が届くというのは異常な早さである。通常であれば最低でも認可まで半年はかかる。また系列航空会社アボリス(Avoris)にも3億2000万ユーロが支給された。

これらの認可には最終的に内閣の許諾が必要である。ベゴーニャ・ゴメス氏が関係をこれまでもって来た企業への支援金ということで、本来サンチェス首相はこの閣議決定には出席を控えるべきであるが、逆に参加して彼が最終的に認可の決定をしている。首相の執った姿勢は本来違法とされている。

上述した企業への救援金の提供が異常な早さで決まったという以外に、提供された金額が余りに高額であるというのも異例である。他社で高額な救援金を受けた企業はゼネコンのテクニカス・レウニダス社の2億4100万ユーロだけである。それ以外の他社は数千万ユーロの救援金となっている。

更に、彼女は夫が首相だという地位を利用して、情報関係のインノバ・ネクスト(Innova Next)という会社が公的企業からの入札を落札できるように便宜を図った。特に2021年と2022年の間に同企業が落札で受注した総額はおよそ2300万ユーロ(27億6000万円)。インノバ・ネクストが応札するのに彼女が推薦状を認めていたのである。この推薦状によって入札の際に審査が優位に運ばれていた。(7月16日付ABCから引用)。

インノバ・ネクストの受注を容易にしたのは、同社のオーナーカルロス・バラゲス氏が、前述したがコンプルテンセ大学で彼女が「競争力ある社会変化」の学科を設け、そのマスター取得のディレクターに就任するように便宜を図ったのがカルロス・バラゲス氏である。その恩義からサンチェス首相とベゴーニャ・ゴメス夫人は彼に便宜を図ったということだ。