筆者は、次第に違和感を持つようになった。

というのも、もろもろの日常の懸念と攻撃・放火・略奪行為がどうしても、つながらないと思ったからだ。

本当に生活に困っている人は、こうしたデモにはいかないのではないか。

また、不満を持っていたとしても、それがモスクなどへの攻撃や店舗での物品の略奪に走るものだろうか、と。

逮捕者続出、即、量刑

事態が次第に落ち着く方向に向かった一つの要因は、大量の警察官が導入されたことが迅速な逮捕につながり、これが裁判から量刑へと急速に進んだことだろう。

逮捕者は8月6日頃までに400人に達し、起訴は140人。

裁判が始まり、6日に最初に量刑が下っている。暴動関連で有罪となった場合、「最長では10年の禁錮刑になる」と発表されたことも抑制効果があったようだ。

実際にデモに参加した人は、移民排斥思想を持つ極右信奉者、これに同調する人、日ごろから生活不満を持つ人、そして、見物のつもりでやってきた人々だと言われている。軽い気持ちでやってきた人が暴徒化した場合もありそうだ。

デモに抗議するデモ

7日の夜は「デモに抗議するデモ」がロンドンを含む各地で開催されるようになった。平和的なデモに終始したようだ。

なぜ参加?の疑問が解けた

最後に、筆者なりの「なぜ暴徒化したのか。なぜこのような暴力的なデモに人は集まったのか」を書いてみたい。

まず、やはり、極右系組織の元メンバー、あるいはこれに同調する人が「ここで存在感を占めそう」と思ったことが最も大きい。最初から警察と対立姿勢を見せ、暴力行為もいとわないことを承知の上で、来たのである。

英国では2011年にも、夏に暴力デモが多発した。この時のように、1か所で発生したデモが局地的に次々と派生し、警察をてんてこ舞いさせる、メディアで大きく報道されることを狙っているのである。

なぜそんなことをするのか?メディアで大々的に報道されれば、それだけで自分たちの存在、影響力が大きいことが示せる。