当方は「最後の世代」の活動開始直後からこのコラム欄でも数回、その過激な活動に対して批判的に論評してきた。これをみると「最後の世代」が過去、多種多様な活動をしてきたことが分かった。その結果、「暴力、殺害脅迫、逮捕や拘留、憎しみや数万ユーロの罰金を受けてきたが、私たちは続けてきた」と誇りを吐露している(「環境保護活動から『殺人事件』になる時」2023年5月12日、「独『最後の世代』に大規模な強制捜査」2023年5月26日参考)。

オーストリア日刊紙クライネ・ツァイトゥングは2023年1月22日、「最後の世代」の運動が宗教的な衝動で動かされている面を指摘していた。「彼らは世界の終わりが差し迫っていると信じており、人々に改宗を求めている。歴史的に見て決して新しいことではない。キリスト教とそれによって形成されたヨーロッパの歴史は、世界の終わりとその預言者の歴史でもあった。『地球は燃えている』という叫びは、私たちの文化的記憶に定着している。火と硫黄に沈む様子は、ヨハネの黙示録の世界だ。この地球上の最後の世代であるという考えは、既存の世界の終わりと新しい世界の夜明けを常に期待して生きた最初のクリスチャンの姿だった」と分析している。「最後の世代」の活動家には世界の終わりといった「終末観」が強く、それゆえに「この世の法など無視しても構わない」といった論理が生まれてきたのだろう。

「最後の世代」が活動終了に追い込まれたのは、空港内に侵入して、フライトの妨害をしたことだろう。夏季休暇で多くの国民が旅行に行くために空港に行ったが、「最後の世代」の活動家たちが飛行機の滑走路に接近し、飛行を妨害したため、多くのフライトがキャンセルされた。それを知った旅行者が「一年前から計画していた家族旅行なのに、これで全てのプランがダメになった」と怒る旅行客の姿がテレビで放映された。「最後の世代」への怒り、批判はヒートした。