投資の鉄則に反する

 では、一般の投資家が信用取引をやるのは大きなリスクがあるといえるのか。

「大きなリスクがあるので、基本的には“やらないほうがいい”し、個人的には、以前と比べて信用取引を始めるハードルが低くなりすぎているのは問題があると感じる。大前提として、機関投資家は個人投資家と比べて、はるかに低いコストと労力で多くのディープな情報にアクセスできるため、機関投資家と個人投資家の間には情報の非対称性が存在する。つまり個人が個別株取引などで継続的に儲けるためには、多くの時間と労力をかけて情報を収集し分析する必要があるが、大半の一般投資家は本業を別に持っているため、そのような時間はない。また、本業を疎かにしてまで投資にのめり込むというのは賢明な行動とはいえず、あくまでしっかりと本業に注力して生活資金を稼いでいくべきだ。

 そもそも投資の鉄則は『株価が割安なタイミングで買って、できるだけピークに近い高値のタイミングで売る』だが、株価暴落という一番の買い時のタイミングで追い証が発生して換金売りなどを迫られて株を買えない状況に陥るというのは本末転倒。実際に一部の投資家は日経平均が暴落した今月5日、大量の買いに走っていた。ネット上には『信用取引でこれだけ儲けました』という成功体験も多くみられるが、当然ながら儲ける人は一定数出るわけで、それが多くの人に当てはまると考えるのは危険」(証券会社関係者)

 別の証券会社関係者はいう。

「信用取引は大きな額の取引ができるためギャンブル的な要素が強い。多額の資産を持っている人が、一定の限度額のなかで自己責任でギャンブルと割り切ってやるのは自由だろう。だが、もし負けてもゼロになるだけで済む競馬などとは異なり、信用取引はレバレッジを利かせた取引なので事実上の借金を多く抱えるリスクがあるという点は肝に銘じるべきだ」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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