石油に頼るサウジや中東としては代替エネルギーが叫ばれる中、2030年以降の経済戦略を資金的余裕があるうちに準備することは必須です。サウジ、及び中東の経済基盤の大転換を図るには時間が残されていません。今回、カタールのサッカーワールドカップは巨額の資金を投じて開催していますが、これはカタールのみならず、中東の目覚めの第一歩である見るべきでしょう。
地球儀ベースでみると経済の成長は常に西に向かっています。ギリシャ、ローマ→スペイン、ポルトガル→オランダ→英国→アメリカ→日本中国を含むアジア→次の期待がかかるのがインドです。ではインドの次はどこか、と言えば中東というのがナチュラルではないでしょうか?
もう一つの習近平氏の変心は自らの外遊を積極化させ始めた点です。コロナ下では王毅氏が中国の顔役として世界を飛び回りました。その王毅氏が作り上げた道を習近平氏が固めていく流れには要注目です。習氏を代弁することは不可能ですが、個人的な想像としては比較的「いい顔」外交を進めていくのではないかとみています。王毅氏が地球上で「点」を数多く押さえた中で習近平氏は「線」を越えて一気に「面」にしていく感じが見て取れます。
もしもこれらのシナリオがある程度正しいならいくつかのことが想定できます。1つ目は中国は遠くないうちに活況を取り戻す公算があること、2つ目に落ち目のアメリカに対して中国がライジングサンとなるだろうこと、3つ目に中国のテクノロジーはまだ最新のものに追いつかないもののその後ろ姿は捉えているだろうこと、4つ目に中国のEVは世界をリードし、不動産業界はどこかで底打ち反転するだろうこと。5つ目に経済版中華思想をより拡大し、地球儀ベースでその影響力を拡大するであろうこと、であります。
そんな話はあり得ない、聞きたくないという方は多いと思います。しかし、冷静になってみれば欧米は民主主義という名のトラップに引っかかっている中で権威主義、言い換えれば指導者のカリスマ性で一気に歩を進める可能性から目を離していけないのだとも言えます。習氏は当面は平和的で経済的回復で歩を進め、そこからイデオロギー的な部分に再度入り込むのではないか、という気がします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月9日の記事より転載させていただきました。
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