ただし、私は問題の本質は日本の金利が低すぎてしばしばキャリートレードの道具となっていることに不満があるのです。キャリートレードは今世紀に入るまではマイナーなオタクの領域だったものが日本の金融政策があまりに低位安定の金利水準を提示し続けるのでプロの投資家の間でキャリートレードがビジネスとして確立したのです。もしも日米でこれほどの金利差がなければ為替水準の大幅な変位も少なく、キャリーもしにくいはずです。当然ながら健全な投資家が慌てふためくこともなかったのです。

キャリーの残高が60億ドルというのは一面の統計で多分、その何倍もの残高があるはずです。これをより積極的に解消させるにはアメリカが断続的な利下げサイクルに入り、日本があと数段利上げすればほぼ解消するでしょう。よって日銀は市場との対話を上手にしながらも利上げ姿勢は崩さない方がよいと考えています。

お化けは消えるか?

お盆までにお化けは消えないかもしれませんが、秋にかけて更に漸減していくとみています。日本株は為替に踊らされています。それと半導体関連業種が今年前半のテーマだったこともあり、指針をなくした状態にあります。ただ、多くの輸出企業は現地化が進んでいるし、為替は先物でヘッジをしているので1-2年先まではさほど大きなリスクは出ないはずです。現地化している日系企業の場合は現地の儲けを日本に送金しないことが円安の原因の一つとされたこともあります。ただ、それも昔と今の比較であって円転しない日本企業が持つ海外の流動資産は常態化してきているのでこれが今後も影響するとは考えにくいです。

今回の世界規模の株式市場の大混乱は日銀の利上げがきっかけだった可能性はあります。そして夏休みで市場に参加するトレーダーが少なかったことも事実でしょう。「俺の夏休みを返せ」とぼやいている人もいらっしゃるのではないでしょうか?

ただ、アメリカの景気の行方という別の課題もありますので引きつづきデータや経済事象には留意が必要かと思います。