出典:農林水産省

農林水産省によると、2022年(令和4年)度の食料自給率の概算値は、カロリーベースで38%、生産額ベースで58%だといいます。これは諸外国と比較してカロリーベース、生産額ベースともに低い水準にあるということです。


出典:農林水産省

海外からの食料調達ができなくなった場合や、農業生産者の高齢化・離農が増えることで、さらに国内生産力が弱まることを不安視する声が聞こえてきてもおかしくない状態です。

農林水産省|日本の食料自給率

農林水産省|世界の食料自給率

「有事」対応には「限界」の水準

MRIは、2024年6月に改定された「食料・農業・農村基本法」を受けて、日本の食料生産・農業の目指すべき状態と、その実現のための方策を提言したといいます。

政策目標の1つとして掲げられた「食料安全保障の強化」。国際情勢や気候変動などを背景として、国内の農業生産の振興をはかり、安定的な輸入と適切な備蓄を組み合わせて強化しようというものです。

MRIは、2050年に耕地面積が270万ha(2020年420万ha)、農業生産額が4.5兆円(2020年8.9兆円)、農業経営体が18万経営体(2020年107万経営体)まで縮小し、カロリーベースの食料自給率は29%にまで低下すると推計しています。


KGI (Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標のこと

一方、日本の「食卓」が現時点では一定程度充実していることを認め、食料安全保障の状態に「大きな問題はない」ともいいます。しかし、「有事対応」を想定した場合には農業生産力・自給力は限界に近い水準を示していると指摘。

現在の食料安全保障レベルを2050年まで維持するには、農業生産基盤として、耕地面積350万ha・農業生産額8兆円・農業経営体21万経営体が必要だと伝えます。食料安全保障の観点からは、これらが最も重要な農業政策展開上の目標であり、農業生産の目指すべき状態だという見解を示しています。