チームが第一に発見したのは「巨大ダム」です。
これはジェセル王のピラミッドから数百メートル離れた場所にあり、「ギスル・エル=ムディル(Gisr el-Mudir)」と呼ばれる巨大な石垣を指します。
この遺構は以前から見つかっていましたが、その本来の用途については専門家の見解が一致していません。
しかしチームは今回、この遺構を含むサッカラ台地が水が流れてくる流域より下に位置することに注目しました。
過去の気象データをもとに、4500年以上前のサッカラ台地に流れ込んだであろう水量を試算した結果、ギスル・エル=ムディルが水を引き入れる巨大ダムとして機能するのに適していたことがわかりました。
そこでギスル・エル=ムディルはピラミッドへ水を供給する入り口として機能していたと考えられます。
第二の発見は「水処理施設」です。
ここはジェセル王のピラミッドの外側に位置しており、チームは「深い溝(Deep Trench)」と呼んでいます。
現在は長さ400メートル、深さ27メートルの遺構が残っており、こちらも用途は不明でした。
しかしチームは深い溝の構造から水の貯留や浄水システムとして機能した可能性が高いと考えます。
具体的には、先ほどの巨大ダムから送られてきた水から堆積物をろ過して、水の純度を高め、流量を調節しながらピラミッドの方へと水を供給するシステムを備えていたといいます。
そして第三の発見が「水圧エレベーター」です。