フリードが、N-BOXと並ぶ「日本のベストセラー」になってきた
ホンダは2024年7月29日、6月28日に発売した新型フリードの累計受注台数が、約3万8000台に達したと発表した。3万8000台は、月間販売数計画(6500台)の約6倍となる好調な立ち上がりだ。
旧型フリードは、モデル末期でも好調な販売成績を持続した人気モデルだったが、伝統の「ちょうどいい!」というコンセプトを時代に合わせてアップデートした新型の注目度は抜群。いままで「日本で最も売れているクルマ」は同じホンダのN-BOXだったが、新型フリードはN-BOXと並ぶベストセラーに君臨する可能性が高くなってきた。まさに「ホンダの底力」は凄い。
購入層は、メーカーの予想通り。「先代フリードや各種Kカー、コンパクトカーからの乗り換え層を中心に、ファミリー層や単身層をはじめ幅広いユーザーの支持を集めている」という。
評価されているポイントは主に4点
1:モーターならではの力強い走りと良好な燃費を実現した「e:HEVハイブリッド」
2:上質&シンプルな「AIR(エアー)」と、遊びゴコロ満点の「CROSSTAR(クロスター)」という2つの個性
3:取り回し性に優れたボディサイズで実現した広くノイズレスな室内空間
4:1列目から3列目まで自由に車内を移動できるウォークスルー性
好調の要因は、ホンダのクルマ作りの進化がもたらした
好評の4ポイントは、確かに新型の大きな魅力だ。全長4310mmのコンパクトサイズながら、室内は広々としており、AIR、CROSSTARとも便利な3列シートを設定。CROSSTARの2列シート仕様を選ぶと、車中泊を含めたアウトドアユースにも最適である。最新のe:HEVシステムに進化したハイブリッド車は、力強く、静粛でしかも燃費に優れる。新型フリードは、飛び抜けた個性こそないものの、クルマの基本がしっかりと煮詰められ、ユーザーが期待するさまざまを高次元にまとめた、文字どおり「ちょうどいい!」クルマ。ありそうでいて、なかなかない異色のマルチユースモデルだ。
冷静に見ると、プラットフォームは旧型のリファイン版。e:HEVシステムもヴェゼルをはじめ、幅広い車種で展開しているメカニズムである。フリード専用の新機軸は、驚くほど少ない。新型はいたずらに新しさを追うのではなく、定評のメカニズムを熟成、従来モデルの弱点を丁寧に潰す手法で仕上げている。だからこそ、ブランニューながらすべてに完成度が高く、乗ると「いいな」と感じるクルマに仕上がっている。ホンダのクルマ作りが大人になったことが、新型フリード好調の要因かもしれない。