■“陰謀論”が一蹴されるが…

 さまざまなインスピレーションを与えてくれる南極のピラミッドだが、地質学者はどう見ているのだろうか。

 カリフォルニア大学アーバイン校の地球システム科学教授、エリック・リグノー氏は「CBS」のインタビューでその真相に迫っている。

 リグノー氏は「この画像にはピラミッドの形とその頂上が示されているように見えますが、これはピラミッドのように見える単なる山です」と説明した。

「“ピラミッド”は実際には“ピラミッド状の尖った山”として知られる氷河地域の特徴であることが判明しました。それらは、既存の陸地の側面に氷河が集まって形成されています」(リグノー氏)

 つまりリグノー氏は“陰謀論”を一蹴しているのだ。

「ピラミッドの形状は不可能ではありません。多くの頂上は部分的にピラミッドのように見えますが、そのような面を持つのは1つか2つだけで、4つあることはまれなことではあります」(リグノー氏)

 一方、ドイツ地球科学研究センターの地質学者ミッチ・ダーシー博士は科学系メディア「IFLScience」に「ピラミッド型の構造物はエルズワース山脈に位置しており、エルズワース山脈は長さ400km以上の 山脈なので、氷の上に突き出た峰々に岩石が多いのは不思議ではありません」と説明している。

「これらの峰は明らかに岩で構成されており、この特定の峰がその形をしているのは偶然です。複雑な形ではないので、特別な偶然ではありません。定義上、それはヌナタク(nunatak)であり、氷河または氷床の上に突き出ている単なる岩の頂上です。 これはピラミッドの形をしていますが人間の建造物ではありません」(ダーシー博士)

 ヌナタクとは氷河地域に見られる地形で、氷河または氷床から頂部のみが突き出た山や丘のことである。

 ウェブメディア「UNILAD」によれば、この種の“ピラミッド”のほかの事例としてアイスランドのブーランドスティンドゥル山やフェロー諸島のボルドヤルネス山などが挙げられるという。

南極の「超巨大ピラミッド」は古代文明の遺物か、尖った山か、その真相は……
(画像=ブーランドスティンドゥル山 画像は「Wikimedia Commons」より,『TOCANA』より 引用)
南極の「超巨大ピラミッド」は古代文明の遺物か、尖った山か、その真相は……
(画像=フェロー諸島の山 画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)

 確かにどちらの山もなかなか整ったピラミッド型を形成している。南極のピラミッドはもまた自然の形成物ということで一件落着となる気配が濃厚となっていそうだが、そこに大どんでん返しがありそうに思えてくるのもまた謎多き南極ミステリーである。

参考:「UNILAD」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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