必ずしも高学歴が有利だというわけではない
日系か外資系かの違いはあれど、当然ながら人気企業ランキングの上位に名を連ねるのは大企業ばかりだが、大企業に入るにはやはり高偏差値大学が有利なのだろうか。
「高偏差値大学の学生のほうがこれらの企業への内定実績は多いといえますが、一概に絶対的に有利だとも言い切れません。高偏差値大学が有利だという見方には、いわゆる学歴フィルターによって意図的に高偏差値大学の学生に絞って採用したパターンと、学歴フィルターはかけていないが結果として高偏差値大学の採用が多くなったというパターンがあります。
そして大企業のなかでも、特に金融業界で多いのですが、総合職と一般職で採用基準が違うということがあるのです。総合職では、ある程度大学が絞られている一方で、一般職では広くいろいろな大学から採用している傾向などが見受けられます。大企業に入るためには必ず高偏差値大学でないといけないということはないのです」(同)
学歴フィルターは以前より薄まったといわれているものの、一部の業界や企業ではいまだに所属大学の偏差値で就活生の足切りをしているという実情もあるのだろう。
「新卒の話に限ると、東洋経済新報社の出している『就職四季報』のデータを見れば、どの業界やどの企業が学校名を重視しているかどうかなどが、見えてくるでしょう。例えば高偏差値大学の採用に偏っている業界や企業がある一方で、多様な大学から広く採用実績のある業界や企業もあります。また、一部の地域で名のある伝統的な大学は、高偏差値ではなくてもその地域の有力企業から採用されやすい傾向にあるといったこともわかります」(同)
憧れの仕事に就くには中長期的プランも重要
子どもが憧れる職業に就くためには何が重要なのか。
「前提として、志望していた大企業に入れたからといって、その子がやりたい仕事につけるという保証はありません。今回の話だと、受験勉強を頑張って高偏差値大学に受かり、新卒で任天堂に入社できたとしても、希望外の配属だった場合、夢だったゲーム開発には必ずしも携われないことになります。まずは、その子自身がゲーム制作のなかでもプログラミングをしたいのか、ゲームのデザインをしたいのかなど、やりたいことを具体的にするために、親がその職業や業界などの実情を子に教えてあげて、一緒に業界分析をしていくことが大切でしょう。
また、キャリアの形成という点からすると、最初からやりたいことを明確にして、逆算して新卒入社するというパターンだけではありません。昨今では中途採用に力を入れている企業も多いので、さまざまな業界で経験を積んでから、行きたい企業に中途入社するという方法もあるわけです。自分が行きたい業界や企業に新卒で入ることだけではなく、中長期的な視点で志望する業界・企業へ進む道を探していくことも重要です。今の時代、キャリアの歩み方は本当に多種多様です。その子が頑張れる範囲で、いきいきと働くにはどうしたらいいのか、その都度考えるほうが夢は叶いやすいかもしれません」(同)
(文=A4studio、協力=常見陽平/千葉商科大学准教授)
提供元・Business Journal
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?