マス広告として機能
日本の一般的な歯科医院の年間売上は約4800万円だが、きぬた歯科は15億円もあり実に30倍の規模を誇る。そして患者アンケートでも看板広告を見て来院した方が多いという結果が得られており、看板を主軸とした広告戦略は確かに成功しているようだ。ネット広告が主流の時代に、きぬた歯科の看板広告はなぜ集客に成功し効果を発揮しているのだろうか。
鈴木氏によると、きぬた歯科の看板広告はマス広告として機能しているという。マス広告とは大衆向けに認知度を高める目的で打つ広告であり、狭義ではテレビ・ラジオ・新聞・雑誌での広告を意味するが、同歯科の場合は大量に設置しているためマス広告と同様に機能している。歯科医院と聞くと近所の患者が訪れるイメージがあるが、インプラント治療は広域で潜在的な患者が見込まれる治療法であり、都内各所に設置する看板は潜在顧客の呼び込みに役立つと鈴木氏はいう。実際に羅田院長もYouTubeの街録チャンネルにおけるインタビューで、1990年代後半のインプラント黎明期から同治療を始めたと話しており、きぬた歯科は国内有数のインプラント歯科医院として認識されているという。
突き抜けて目立つ看板広告
「突き抜けて目立つ」看板も、きぬた歯科の集客につながったと鈴木氏はいう。認知度向上を目的とした広告において高い効果を得るには、広告を見た人がその商品や企業をすぐに認識できるようにしなければならない。確かに芸能人でもなく誰かわからない「おっさん」の顔がでかでかと表示された看板は非常に目立つ。仮に文字だけの看板広告を展開していた場合、多数設置していても現在のような認知度は得られなかったかもしれない。「にしたんクリニック」の特徴的なテレビCMや、かつて「すしざんまい」の社長がまぐろの初競りで落とすために億単位の金を投じていたことも突き抜けて目立つ目的があるという。ちなみに、きぬた歯科では当初、インプラント治療における口内のビフォーアフター画像を使用していたが、気持ち悪いというクレームが多く、院長の顔写真を使用するに至ったそうだ。