記録的な大雨や地震による激甚災害は、その種類や頻度が増加しており、早急な対応や支援が必要とされています。
情報技術の進歩により行われるさまざまな支援のなかには、民間企業のプローブカー(※)による通行実績データの配信も含まれるそうです。
※ 走行速度・位置などの情報を一定間隔で収集し、交通情報を把握するシステムに対し、その情報を送信する装置を搭載した車両のこと。
このたび、東京大学空間情報科学研究センター(以下、CSIS)と一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(以下、AIGID)は、プローブカーデータなどを活用した「リアルタイム災害情報提供システム」を構築。大規模災害の発生時に社会実験を開始することを発表しました。
プローブカーデータで災害被害状況を把握
暴風雨や洪水・干ばつといった異常気象。世界気象機関(WMO)によると、これらにより発生する気象災害の件数は、1970年から2019年の50年間で5倍近くに増加しているといい、その要因の1つに地球温暖化が影響しているともいわれています。
また、おおむね100~150年間隔で繰り返し発生しているという南海トラフ地震の発生も懸念されるなど、自然災害の頻発化・激甚化が懸念されています。
こうした自然災害は避けられませんが、迅速な対応によって被害を減少させることにつなげられるかもしれません。
近年では、ドローン・高解像度衛星・人工知能などの技術を活用して、さまざまな支援が可能になっているといいます。
そのなかで、民間企業のプローブカーによる通行実績データ(以下、プローブデータ)の活用も注目されているようです。
2016年11月にオープンしたG空間情報センターでは、災害対策本部に提供されたプローブデータが、災害発生後1日以内に配信されています。
G空間情報センターの公式サイトより
こうした民間企業からのデータ提供は、被害状況を把握するための有用性が評価されている一方、有効活用する仕組みは整っていないのが実情だといいます。