イギリスのロンドン大学(UoL)で行われた研究により、ワープドライブを搭載した宇宙船の痕跡を現在の技術でも検知できる可能性があることが示されました。

研究では、ワープの理論的な仕組みを検証するとともに、ワープドライブが事故などによって破損した場合に宇宙空間に放たれる重力波のパターンを特定することに成功しています。

もしこの技術が実現すれば、ワープ技術を持った文明が存在するかを確かめたり、宇宙の高速道路の存在を明らかにできるかもしれません。

研究内容の詳細は2024年7月24日にプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されました。

目次

  • ワープドライブの基礎理論
  • 異星人が起こすワープ事故を検知する

ワープドライブの基礎理論

大学で物理学を学ぶ学生たちの多くは、早い段階でアインシュタインの記した相対性理論について学び、宇宙のあらゆる物体や現象(重力や磁気も)は「光速を超えない」ことを知ります。

「光速を超えられない」というのは理論だけのものではありません。

実際、これまで宇宙望遠鏡で観測されたあらゆる現象の中に「超光速」は存在せず、相対性理論の信ぴょう性を高めることになりました。

そのため物理学のクラスを受講し終えた大学生たちの多くは、SFなどに登場する「ワープ技術」は完全な夢物語に過ぎないと断言するようになります。

しかし近年の研究により、超光速を禁じる相対性理論をベースにしながら、実質的なワープが理論的に可能であることがわかってきました。

ワープバブルを用いたワープ方法
ワープバブルを用いたワープ方法 / Credit:wikipedia

例えば、現在最も研究が進んでいる「ワープバブル」を使った理論では、宇宙船の周囲の空間の圧縮や拡大といった方法で、実質的なワープを目指しています。

たとえば1光年先の星に行きたい場合、前方の空間を1光年から1kmに圧縮することができれば、簡単に辿り着くことが可能です。