経済が平常時、つまり一定高度で安定飛行している場合は一定のタイムラグは吸収できます。ところがコロナ禍で始まった利下げ、その後の激しいインフレと利上げ、そしてインフレの鎮静化とビジネスの実態は渦潮のような状態でこの4年間、何一つ安定ということがなく、新しい水準が次々と生まれてきました。FRBが判断ミスをしたとすれば乱気流下における経済活動について実態面から相当遅れた判断をした、ここに痛恨のエラーがあったとみています。

もう一つ、私の考える8月の「お化け」とは見えない不安です。個人的にはイスラエルを取り巻く問題が大きな懸念で何が起きるのか、歴史の教科書になるような事態になるのか、であります。もう1つは日本とアメリカの政局であり、共に何らかの変化が起きそうな気配がある、だけど誰もその先がわからないという不安であります。

昨日申し上げたように社会は99.9%のフォロワーにより成り立っていますが、そのフォロワーはフォローする際にいろいろ色付けするのです。今、英国で起こっている少女3人の殺害事件について事実と全く関係ないのに移民が事件を巻き起こしたと勝手なストーリーが作られ、嘘だと分かっているのに移民反対派が暴動を起こしています。つまり彼らは移民反対運動をするための理由付けが欲しかったのであり、社会への不満とストレスを爆発、発散させたかったのです。

同じような問題はアメリカの大統領選挙でも起きるかもしれないし、その点はおとなしい日本でも荒れた政局になるかもしれません。要は明日のことが分かりにくい中、人々のマインドが異様に繊細になっており、全てに過剰反応する、そういうことだと思います。

「8月のお化け」はお盆を過ぎると出ないのが通例です。私はそれを信じたいと思います。日本の株価は過剰反応ですが、為替がトリガーであり、強烈な巻き返しと個人投資家がその大きな波にのまれてしまいました。ただ、日本の株価乱高下を為替原因説だとすれば私が先週申し上げた対米ドルで140円というラインは一時期、見えそうなところまで行きました。そこを超えてまで円高が進むにはかなりハードルが高いかもしれません。