次世代の太陽電池として近年注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池」。ソーラーパネルに使われているシリコン系太陽電池と異なり、薄型で軽量、柔軟性があり、量産可能で製造コストが低いといった特性を持ち、幅広い場所・用途での導入が期待されている。
一方で寿命の短さ、耐久性が低さ、電力変換効率の向上などの課題もある。そんななか、ペロブスカイト太陽電池の研究・製造のイノベーターであるSingfilm Solarは、自社開発のペロブスカイト太陽電池モジュールが定常変換効率22.6%を達成したと発表した。
今回の成果は、Martin Green教授が率いる国際研究グループによる「太陽電池効率表(バージョン64)」に掲載された。
ペロブスカイト太陽電池の商業化における課題
太陽光発電の変換効率の向上は重要であり、1%向上するごとに発電量と収益が4%増加する可能性がある。昨今は従来の結晶シリコン系太陽電池を上回る効率を実現するペロブスカイト太陽電池が登場している。そんなペロブスカイト太陽電池だが、安定性の課題により太陽光発電業界での普及はいまだ進んでいない。複雑な条件下で電力変換効率と動作安定性を両立しながら、製造の拡張性を確保することは依然として重要なハードルだ。
さらに、調整可能なバンドギャップ、軽量、高効率、シンプルな原材料など独自の特性を活用して、さまざまな用途のさまざまな太陽光発電製品を開発することは、商業化における大きな課題となっている。
*…異なる性質の電池を組み合わせて使う太陽電池
高効率、安定性、製造可能性を備えたモジュール
こうした背景のなか、Singfilm Solarは今年7月にペロブスカイト太陽電池モジュールの電力変換効率の記録を更新した。pv magazineによると、このミニモジュールは55mm×55mmの基板上に直列に接続された8つのサブセルで構成されており、それぞれの幅は5.6mmだという。各サブセルは開放電圧1.169V、短絡電流25 mA/cm²、充填率77.4%という数値を示している。