このほか、中国主導の「上海協力機構(SCO)」というグループもあります。これは、1996年に中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの5カ国(上海ファイブ)で結成されたもので、現在はモンゴル、アフガニスタン、トルクメニスタン、トルコなどに加えて、インド、パキスタン、イランもオブザーバー、対話パートナーなど様々な形で参加しており、そのうち、タジキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシが正式加盟したので、現在の加盟国は10カ国になっているようです。

中国はさらに、「一帯一路」政策を進めています。これは、周知のように、中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけての広域経済圏の構想で、必ずしも軍事的性格を持つものではないとされていますが、

最近では主要関係国の参謀総長会議などが開催されており、徐々に軍事的な色彩も帯びつつあるようです。

ブロック化の危険性

国際政治のブロック化はいつの時代でもあり、例えば、第2次世界大戦の時も、日独伊(枢軸国)による3国同盟と、これに対抗する米英ソ連中心の連合国グループの対立が基本形でした。

とくにアジアでは、日本が「大東亜共栄圏」と称して南北朝鮮、中国(旧満州)、現在の東南アジアを含む東アジアの広大な地域を抱え込もうとしたのに対し、米、英、中、オランダの4カ国(ABCD)が対日包囲網で対抗しました。

当時米国はフィリピンを、英国はインド、シンガポール、マレー半島、香港などを、オランダは石油資源の豊富なジャワ(現在のインドネシア)を植民地支配していたので、日本の進出を警戒していました。

結局こうした政治・経済面でのブロック化が、双方の対立を深め、ついに大戦争に至ったわけですが、これは、まさに現在、対外的に影響力を拡大しつつある中国を抑え込もうとする日米英豪などによる対中外交戦略とも一脈通ずるものがあります。

こちら側は対中包囲網だとは言っていませんが、中国側からすれば包囲網と見えるのは当然で、かくして疑心暗鬼、相互不信が高ずれば、やがて一触即発の危険な状況にエスカレートする惧れがあります。

台湾有事のシナリオ