日本の意外な“輸出品”だった!?
この「フィジー人魚」も含めて、その入手先の多くは日本人であることも興味深い。
日本では人魚の肉を食べると不老不死になれるという“人魚伝説”もあるのだが、さらにそのルーツをさかのぼると江戸時代に導入された「蘭学」としてのオランダの医学書に行き着くともいわれている。オランダでは人魚の骨を解毒薬としているなどの過度に想像を膨らませ歪曲した噂が生まれ、一部で伝えられるようになったという。
そして見世物興行のために器用な職人によって巧妙に製作された「人魚のミイラ」が登場し、その実物や画図を見れば無病、長寿などのご利益があるとして人気を呼んだ時期があったのだ。
この時期に江戸で作られたきわめて精巧な人魚のミイラのいくつかがヨーロッパに渡り「フィジー人魚」として見世物になったということのようである。
国内の人魚のミイラの一部は、最終的に寺社に奉納されたということだ。
人魚のミイラが奉納された寺院の1つ、岡山県の南西部に位置する浅口市の寺院「圓珠院」に所蔵されている「人魚干物」が、倉敷芸術科学大学や倉敷市立自然史博物館などの合同研究チームによってX線での分析などの科学的な調査が進められ今年2月に最終報告が行われている。
研究結果によると頭骨やろっ骨などがなく上半身は紙や布で作られていて、下半身はうろこの形態などから、日本の沿岸に生息するニベ科の魚の特徴があるということだ。
魚体の部分を放射性炭素測定したところ、1800年代後半のものであることが推定されるという。おそらくこの時期に見世物として作られたものであるとのことだ。つまり「フィジー人魚」と同様のものである。
江戸時代の意外過ぎる“輸出品”であった「フィジー人魚」だが、その中には“元本”となる本物があったのかもしれないと考えてみるのも一興だろうか。
参考:「Daily Mail」「The Northerner」「NHK」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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